1990年代頃に、一般住宅で流行したルーバー窓。当時はとても便利であることから、人気があり、今でも多くの住宅で目にする機会が多くある窓の1つです。
しかし、ルーバー窓には、メリットだけでなく、デメリットも多数あることから、近年内窓・二重窓の設置を検討する方が増加傾向にあります。
そこで、この記事では、そもそもルーバー窓に内窓は設置できるのかをはじめ、ルーバー窓に内窓を設置する方法や、メリットデメリットを徹底解説していきます。
ルーバー窓とは

ルーバー窓とは、別名ジャロジー窓とも呼ばれる窓のことです。名前を聞いてもピンと来ない方も多くいらっしゃるかもしれません。
イメージとしては、細長いガラスやアクリル板を、ブラインドのように少しずつ重ねながら、並行に並べて構成されている窓であり、この1枚1枚のガラスおよびアクリル板の角度を調整することで、開閉可能なものとなっています。
ルーツを辿ると、温室などで使用されるために開発されたこともあり、一般的な住宅では、キッチンをはじめ、浴室やトイレなどに採り入れられていることが多いです。
しかし、この後ご紹介するデメリットから、冒頭でも述べた通りルーバー窓に内窓・二重窓の設置を検討する方が増えてきています。
ルーバー窓の開閉方法
ルーバー窓は、取り付けられているハンドルを回すことにより、ガラスやアクリル板の角度を変えることで開閉させます。
1枚毎に開閉はできず、全ての板が連動して角度が変わり、開閉することになります。
ルーバー窓のメリット

ルーバー窓が一時期とても人気だったのは、次の4つのメリットがあったからに他なりません。
- 効率よく換気ができる
- 効率よく太陽光を採り入れられる
- プライバシーを守れる
- 修理費用が安価
上記のメリットだけ見ると、内窓・二重窓を設置しなくてもいいのでは?と思うほどでしょう。
効率よく換気ができる
窓全体が開くわけではないルーバー窓は、雨の日であっても、少しの角度だけ開閉することで、室内に雨の侵入をさせずに、換気を行うことができます。
効率よく太陽光を採り入れられる
一般的なルーバー窓は、すりガラスのように半透明な板が採用されているため、長時間直射日光が当たって、食材が傷んでしまうような、キッチンなどでも、必要に応じて角度を調整しながら、太陽光を採り入れることができます。
プライバシーを守れる
すりガラス状のルーバー窓であれば、閉じた状態でも、多少開いた状態でも、基本的に外から室内を除くことができず、プライバシーをしっかりと守ることができます。
修理費用が安価
ガラス板あるいはアクリル板を複数枚重ねてできているルーバー窓は、仮にどれか1枚の板が損傷してしまった場合、その1枚だけ交換することで、修理が完了となるため、大掛かりな修理にならないうえ、費用も安価に抑えることが可能です。
ルーバー窓のデメリット

ルーバー窓には、メリットの他に、次の4つのようなデメリットがあることから、最近の住宅には、あまり見られなくなったと言われています。
そして、どうしても古い住宅でルーバー窓が付いているという場合には、デメリットに対策するために、内窓・二重窓を設置する方が増えてきているのです。
- 防犯面に不安がある
- 気密性が低い
- 取り付け時には高い
- 掃除が手間
防犯面に不安がある
ルーバー窓には、板の角度を変えるハンドルこそ付いているものの、肝心の鍵がついていないという致命的なデメリットがあります。
しかも、やろうと思えば、ハンドル操作なしで、外側から直接板の角度を手動で変更できるだけでなく、板の取り外しも非常に簡単であることから、防犯面で大きな不安があると言われているのです。
気密性が低い
簡単に板の角度を変更できるルーバー窓は、どうしても気密性が低いという特徴があります。
近年では、気密性の高い製品も開発されてきていますが、古い住宅で昔取り付けたルーバー窓であれば、確実に気密性が低いと思われます。
そのため、夏には、外からの暑い空気が入り込み、室内の涼しい空気が逃げ、冬には、外からの寒い空気が入り込み、室内の暖かい空気が逃げることになり、室内温度を快適な温度に保ちにくくなる要因の1つになっていることがしばしばあるのです。
取り付け時には高い
修理が必要となった際には、安価で済むとはいえ、ルーバー窓は複雑な構造であるために、どうしても一般的な窓と比較してしまうと、高くついてしまいます。
掃除が手間
ルーバー窓の掃除は、ガラスやアクリル板1枚ずつを丁寧に拭く必要があるうえ、埃などの汚れもそれぞれの板の隅にたまりやすいため、一般的な窓と比較して、掃除が非常に手間であると言われています。
ルーバー窓には内窓を設置するのがおすすめ

ルーバー窓をこれから取り付けるという方ではなく、すでにお住まいの住宅にあるルーバー窓の防犯面や、気密性の低さを解決したいという方には、内窓・二重窓を設置することをおすすめします。
ルーバー窓だからと言って、内窓を設置できないということはありませんので、安心してください。
基本的に、内窓を設置する際には、ルーバー窓自体を交換するわけではありませんし、様々なメリットを得ることができますよ。
もちろん、ルーバー窓は少し特殊な窓であるため、一般的な窓と異なる設置方法になる場合があることは、忘れないでください。
ルーバー窓に内窓を設置する方法

ルーバー窓に内窓・二重窓を設置する方法としては、主に次の3つが挙げられます。
- ハンドルを交換する
- ハンドルを取り外しできるようにしておく
- ふかし枠を取り付ける
ハンドルを交換する
内窓を設置する際には、ルーバー窓の窓枠を利用することになりますが、窓枠には十分な奥行きが必要です。
しかし、奥行きが足りていても、ルーバー窓のハンドルが邪魔になり、内窓を設置できない可能性があります。
この場合には、もともとルーバー窓についているハンドル自体を、内窓を設置しても干渉しないようなものに変更すると、内窓を設置できます。
ハンドルを取り外しできるようにしておく
通常、ルーバー窓のハンドルは360度回転させることができますが、内窓を取り付けることにより、ハンドルの可動域が狭くなり、360度回せなくなる可能性がある場合には、ハンドルを取り外しできる状態にしておくと、内窓を設置することができる場合があります。
ただし、この場合には、ルーバー窓を開閉する度に、100度まで回して、一度ハンドルを外し、また0度から100度まで回すといったように、非常に開閉が手間がかかることを覚悟してください。
ふかし枠を取り付ける
ハンドルはそのままに、ルーバー窓の窓枠にふかし枠を取り付けることで、少し窓枠の奥行きを伸ばし、内窓を設置するというのも1つの手段です。
この場合には、ルーバー窓の見た目や使い勝手は何も変わらないというメリットがあります。
ルーバー窓に内窓を設置するメリット

続いて、ルーバー窓に内窓・二重窓を設置するメリットを6つご紹介していきます。
- 防犯対策になる
- 断熱効果を得られる
- 節約できる
- 防音効果を得られる
- 防災対策になることがある
- 見た目の雰囲気が変わる
防犯対策になる
ルーバー窓自体には鍵がありませんが、内窓には鍵が付くので、防犯対策になります。さらに、防犯ガラスを内窓に採用すれば、より高い防犯対策になるでしょう。
断熱効果を得られる
内窓を設置することで、気密性が高くなり、高い断熱効果を得ることができます。断熱効果により、夏や冬の室内温度を快適に保つことができるはずです。
節約できる
断熱効果を得られるということは、エアコンやストーブなどといった冷暖房器具を最低限かつ効率的に稼働させることができるということです。
内窓を設置する際にはある程度の費用がかかるとはいえ、光熱費を削減することができるため、長い目で見れば、節約になる可能性があります。
防音効果を得られる
防音効果のレベルは一概に示せませんが、内窓を設置するだけで、ルーバー窓のみの時と比べると、防音効果を得ることができると思われます。
防災対策になることがある
防犯フィルムが入っている防犯ガラスの内窓を取り付けた場合には、地震や台風などの災害時に、ガラスが衝撃を受けても、ガラスが飛び散りにくく、ガラスの破片で怪我をするといった被害を最小限に抑えることができる可能性があります。
見た目の雰囲気が変わる
ルーバー窓は、少し年季が入っていて、ノスタルジックな印象があることが多いですが、内窓のサッシの色によっては、部屋の雰囲気を大きく変えることができます。
ルーバー窓に内窓を設置するデメリット

ルーバー窓に内窓・二重窓を設置することで得られるメリットは非常にたくさんありますが、下記2点のようなデメリットもあることを覚えておきましょう。
- 開閉が手間になる
- 掃除が手間になる
開閉が手間になる
ルーバー窓の最大のメリットである、ハンドルを回すだけで板の角度を変更できるという点が、内窓を設置することで、失われてしまいます。
ルーバー窓の開閉をしようと思っても、必ず内窓も開閉しなければならないからです。
掃除が手間になる
ルーバー窓自体の掃除も手間ですが、内窓を設置することで、内窓の掃除も必要になり、より掃除が手間と感じるかもしれません。
まとめ
ルーバー窓に内窓・二重窓は設置できるのかについてをはじめ、この記事では、ルーバー窓に内窓を設置する方法や、メリットデメリットを徹底解説してきました。
一見内窓が設置できないのではないかと思われがちなルーバー窓ですが、工夫次第で内窓を設置することが可能です。
断熱効果や防犯効果を得ることができますので、ルーバー窓には、内窓を設置することをおすすめします。