近年、右肩上がりの光熱費の高騰をはじめ、毎年厳しくなる寒さから、内窓・二重窓リフォームを行い、家の断熱効果を高める方が増加傾向にあります。
特に内窓リフォームは、簡単な施工であるのにもかかわらず、高い断熱効果を得られるだけでなく、条件によっては、国や地方自治体による補助金制度を活用することもでき、非常にコストパフォーマンスの良いリフォーム方法の1つです。
しかし、内窓リフォームだけでは、完璧な断熱対策にはならないことをご存知でしたか?
そこでこの記事では、内窓リフォームはドアの断熱リフォームと同時に行うのがおすすめである理由や、内窓リフォームで断熱効果を高める方法などをご紹介していきます。
住まいで感じることが多い悩みと原因

まずはじめに、住まいで感じることが多いと言われている悩みと原因について、今一度振り返っていきましょう。
- 冬に暖房をつけていても室内が寒い
- 夏に冷房をつけていても室内が暑い
- 窓に結露が発生する
- 光熱費が高騰して家計がピンチ
- 外の騒音がうるさい
- 子ども・ペット・楽器などの音漏れの不安
- 空き巣や強盗への不安
- 地震や台風などの災害への不安
これらの悩みを解決するためには、内窓・二重窓リフォームがおすすめですが、リフォームをする前に、悩みや原因について理解しておかなければ後悔してしまうこともありますので、注意が必要です。
冬に暖房をつけていても室内が寒い
特に寒冷地域にお住まいの方は、暖房をつけているのに、思ったよりも室内温度が上がらず、寒いと感じることが多いのではないでしょうか?
もちろん、北海道に限らず、本州の住宅は断熱対策がそこまでなされていないことが多く、部屋によっては、エアコンの暖気が行き届かないため、寒さを感じるかもしれません。
夏に冷房をつけていても室内が暑い
近年温暖化が進行しつつあり、毎年のように猛暑となるなど、とても過ごしにくい夏ですが、エアコンや扇風機をガンガン稼働させていても、室内が暑いということも悩みの1つでしょう。
特に北海道において、古い住宅には、エアコンがついていないことも多く、夏の過ごしにくさは、大きな課題の1つであると言えます。
窓に結露が発生する
特に寒冷地域において、冷え込みの厳しい冬には、窓の内側に結露が発生することが多いはずです。
結露が発生するということは、窓を介して、外の冷気に室内の暖気が急激に冷やされるということ。結露が発生すると、カビも繁殖しやすいので、注意が必要です。
光熱費が高騰して家計がピンチ
光熱費が右肩上がりの昨今は、例年通り、あるいは節電しているつもりでも、電気代やガス代などの請求額に毎月驚いている方もいらっしゃるかと思います。
かと言って、全く冷暖房を使わないというわけにはいかないので、どうにか対策を打つひつようがあるでしょう。
外の騒音がうるさい
犬や鳥の鳴き声、車やバイクの騒音、子どもの騒ぎ声、夜中の話し声など、外の騒音にも悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
外からの騒音の悩みは、騒音源をどうにかすることは難しく、1度気になってしまったら、ストレスが溜まっていく一方です。
子ども・ペット・楽器などの音漏れの不安
小さなお子様がいたり、犬を飼っていたり、楽器を嗜む方がいたりする場合、自宅から音漏れして、近所の方に迷惑がかかっているのではないかと不安になる場合もあるでしょう。
特にお子様やペットは、思うように言うことを聞いてくれないこともあり、頭を悩ませる要因の1つです。
空き巣や強盗への不安
空き巣や強盗への不安も拭えません。
特に高齢者しか住んでいない住宅の場合、SNSを介して集まった犯人グループに押し入られるという事件が後を立たず、防犯対策をどうしたら良いのか、途方にくれてしまっているのではないでしょうか。
地震や台風などの災害への不安
東日本大震災以来、比較的大きめの地震が頻発するようになったり、気候変動の影響などで、台風が例年とは違うようなルートを通るようになったり、年々激しさと危険度を増す災害への不安もつきません。
住まいの悩みを解決できる内窓リフォーム

住まいで感じることが多いと言われている悩みと原因について、今一度振り返りましたが、これらの悩みの多くを一挙に解決できる方法が内窓リフォームであると言われています。
内窓リフォームとは、既存の窓はそのままの状態で、既存窓枠を生かし、内側にもう1つ新しい窓を設置することです。
内窓リフォームは、非常に施工が簡単で、短時間で終わることから、手軽に実現できるリフォームとなっています。
内窓リフォームのメリット

様々な悩みを解決できる内窓・二重窓リフォームには、今思いつくだけでも、10個もメリットがありますので、順番にご紹介していきます。
- 断熱効果
- 遮熱効果
- 結露対策
- 光熱費などの節約効果
- 防音効果
- 防犯対策
- 災害対策
- 環境にやさしい
- 部屋の雰囲気が変わる
- 他のリフォームと異なり施工の時間が短い
断熱効果
内窓リフォームにおいて、有名で大きなメリットの1つが、断熱効果です。
そもそも住宅の中で、最も家の熱が出ていきやすい箇所は、窓であると言われており、既存窓を内窓でカバーできる、内窓リフォームでは、熱が逃げるのを抑えることができるため、とても高い断熱効果を期待できます。
もちろん1つの窓だけでなく、家の中全ての窓、あるいは的を絞って複数の窓に内窓リフォームすることにより、さらに高い断熱効果を実現できるでしょう。
遮熱効果
内窓のガラスの仕様によっては、遮熱効果を期待することもできます。
遮熱効果とは、太陽光を採り入れつつ、熱や紫外線をカットする効果のことです。特に夏の厳しい日差しの中では、暑さも感じるため、日中でもカーテンやブラインドを使用している方も多いのではないでしょうか。
そういう方こそ、遮熱効果のある内窓を設置することで、日中の明るさを保ちながらも、暑さは遮断するという一石二鳥の効果を実感できるはずです。
結露対策
寒い冬の季節に発生しがちな結露も、内窓リフォームによって、対策することができる場合があります。
結露が発生する原因は、外の冷気と室内の温度差が大きいことなので、内窓を設置することで、内窓自体に結露が発生しにくい上、うまくいけば、外窓にも結露は発生しなくなるでしょう。
光熱費などの節約効果
断熱効果や遮熱効果によって、体感的な過ごしやすさだけでなく、現実的に光熱費などの節約効果を実感することも可能です。
冬は、エアコンやストーブの出力を最低限に抑えながら、室内の暖かさを担保できますし、同じように、夏には、エアコンや扇風機の出力を最低限に抑えつつ、室内の涼しさを保てます。
内窓リフォーム自体には、それなりの出費があるとはいえ、概算では、1年間でおよそ2万円ほどの節約になるとすら言われている上、内窓リフォームには、国や地方自治体による補助金制度を活用できる場合も多いので、長い目で見ると、大いに家計にとってプラスになる可能性を秘めているのです。
防音効果
電車や車、バイクの走行音をはじめ、公園から聞こえてくる声、犬の遠吠えなど、様々な騒音を軽減する防音効果も、内窓リフォームでは期待できます。
一方で、自宅から発している音が外へ漏れ出ることも防ぐことが可能です。
ただし、高い防音効果を得るためには、様々な面に気を遣って、施工しなければならないため、経験豊かな業者に相談しながら進める必要があることを、覚えておいてください。
防犯対策
内窓を設置することで、単純に窓ガラスが2枚、鍵が2つになるため、視覚的に侵入を諦める要因になりやすいことから、空き巣や強盗への防犯対策としても、内窓リフォームは有効と言われています。
さらに、防犯ガラスを用いた内窓を選べば、貫通しにくい上、割れにくいことで、より高い防犯効果を得ることができるでしょう。
災害対策
防犯ガラスを内窓に用いることで、防犯対策だけでなく、災害への対策も同時に兼ねることになります。
防犯ガラスは、複層ガラスになっており、2枚のガラスの間に特殊なフィルムが入っているため、前述した通り、貫通しにくく、割れにくいのみならず、万が一ひび割れてしまったとしても、飛散しにくいという特徴があります。
そのため、地震や台風でなんらかの衝撃で、割れてしまっても、ガラス片が飛び散らず、怪我をしにくいと言われているのです。
環境にやさしい
断熱効果や遮熱効果により、冷暖房の稼働を最低限に抑えることができるということは、省エネになるため、家計だけでなく、環境にもやさしいということです。
地球温暖化をこれ以上進行させないためにも、内窓リフォームは、とても大切な試みと言えるでしょう。
部屋の雰囲気が変わる
内窓リフォームでは、内窓の窓枠のカラーや、素材を選ぶことができるため、部屋の雰囲気を変えることもできます。
窓枠というのは、基本的に定期的に変えられるものではないので、内窓リフォームの時をチャンスとして、ぜひお好みのカラーや素材を選ぶと良いでしょう。
他のリフォームと異なり施工の時間が短い
内窓リフォームは、壁や既存の窓を壊して、取り替えるというような施工ではなく、あくまでも今ある既存窓と窓枠を生かして、新しい内窓を取り付けることになります。
そのため、他の箇所のリフォームとは大きく異なり、とても施工の時間が短く、気軽に依頼することができるのです。
内窓リフォームのデメリット

内窓・二重窓リフォームのメリットについて、一通りご紹介しましたが、もちろん完全無欠に見える内窓リフォームにもいくつかのデメリットが存在しています。
ここでは、8つのデメリットをご紹介していきますので、後で後悔しないよう、しっかりと頭に入れておきましょう。
- 内窓リフォーム不可な既存窓がある
- お金がかかる
- 圧迫感を感じる
- 期待したほどの効果を得られない場合がある
- 掃除の手間が倍になる
- 開閉の手間が倍になる
- 賃貸物件の場合内窓リフォーム不可な場合がある
- マンションの場合内窓リフォーム不可な場合がある
内窓リフォーム不可な既存窓がある
内窓リフォームをやる気になってから発覚すると、とても残念な気持ちになってしまうのですが、そもそも内窓リフォーム自体、不可な既存窓があることを覚えておいてください。
多くの場合、既存窓の開閉時に、内窓に干渉してしまうような仕様だと、内窓が設置できませんので、まずは自宅で内窓設置したいと思った段階で、問題なく内窓が取り付けられる窓であるのかどうかを、確認することをおすすめします。
お金がかかる
当たり前ですが、内窓リフォームは無償ではできません。内窓の代金はもちろんのこと、業者への施工代金がかかってきます。
窓の種類や大きさ、機能性の高さ、オプションの有無、取り付ける枚数など、様々な要因によって費用は上下しますが、なるべく費用を抑えたいということであれば、補助金制度を活用したり、一段階程度窓のスペックを落としたりすると良いでしょう。
圧迫感を感じる
既存窓の枠を活用して、内窓を取り付けることになるため、わずか数cm程度ではありますが、内窓設置後に圧迫感を感じる方が少なくありません。
徐々に違和感がなくなるとはいえ、内窓リフォーム後に圧迫感を感じたとき、戸惑いを覚えるかもしれないということを覚悟しておいてください。
期待したほどの効果を得られない場合がある
断熱効果や遮熱効果、防音効果など、様々な効果を期待しすぎて、期待したほどの効果ではないと感じてしまい、内窓リフォームに失敗したり、後悔したりしてしまう場合もあります。
こうした事態を防ぐためには、あれもこれもと全てのメリットを高いレベルで求めないこと、求める効果の優先度をつけること、信頼できる業者と相談の上、優先度の高い効果を確実に得ることができる内窓を選び、丁寧に施工してもらうことが大切です。
掃除の手間が倍になる
冷静に考えるとわかるかと思いますが、内窓を設置することで、単純に窓ガラスとサッシの数が倍になります。すなわち、掃除の手間も倍になるということです。
内窓は外窓と違い、雨風に直接晒されることがないとはいえ、内側は手垢などが付きやすく、外窓と内窓の間には、埃や砂などが入り込みやすく、やはり、定期的な掃除は欠かせません。
開閉の手間が倍になる
こちらも当たり前ですが、気軽に窓を開けて換気しようと思ったとしても、窓を開けるのに内窓の鍵と、外窓の鍵の2つを開けなければなりません。
開閉の頻度が高い窓の場合、少し億劫に感じてしまうかもしれないので、日頃から頻繁に開閉する窓には、本当に内窓が必要なのかどうか、今一度検討してみることをおすすめします。
賃貸物件の場合内窓リフォーム不可な場合がある
賃貸物件にお住まいの場合には、内窓リフォームしたいと思っても、基本的に既製の内窓を取り付ける際には、既存窓枠の一部に穴開けが必要になるため、大家さんや管理会社から許可が出ないという場合があるので注意が必要です。
しかし、許可が出るかどうかわからないからといって、そもそも大家さんや管理会社に許可を取らないようなことがあると、退去時に原状回復のための費用を請求されてしまう可能性があるので、必ず大家さんや管理会社に相談してください。
もし、内窓リフォームに許可が出なかったとしても、穴開け工事を必要としない賃貸内窓という製品を取り付けたり、DIYしたりと、別の方法もあるので模索してみても良いでしょう。
マンションの場合内窓リフォーム不可な場合がある
意外に思うかもしれませんが、マンションにお住まいの場合にも、内窓リフォームができないという可能性があります。
マンションにおいては、共用部なのか、専有部なのかという棲み分けをするため、必ず管理規約があるはずなので、隅々まで目を通した上で、管理組合に内窓リフォームが可能かどうかを必ず聞いて、許可を得てから内窓リフォームするようにしましょう。
内窓リフォーム後に断熱効果を感じられない時

断熱効果や防音効果など、何かしらの効果を求めて内窓・二重窓をリフォームするかと思いますが、そもそも内窓リフォーム後に思ったような断熱効果を感じられない時が稀に存在します。
そういう場合には、効果を期待しすぎていたり、そもそも内窓の選定や施工が甘かったりといった理由以外に、内窓リフォームしたことで、他の部分からの冷気の侵入、あるいは暖気が逃げることが目立ってしまうということが考えられます。
そこでここでは、内窓リフォームが成功している前提で、断熱効果をあまり感じられない時の対処方法を2つご紹介します。
- 玄関ドアを断熱リフォームする
- 勝手口ドアにも内窓を設置する
玄関ドアを断熱リフォームする
家の中で最も熱の出入りが激しいのは、窓とお伝えしましたが、同じように開口部である玄関ドアも、熱の出入りが激しい箇所です。
特に玄関は、リビングに隣接していることも多く、意外とリビング部分に冷気が流れ込む大きな原因の1つになっていることが想定されるので、玄関ドアを含めた玄関周りの断熱リフォームを施すことで、より内窓リフォームでの断熱効果を高めることができるでしょう。
内窓リフォームを手掛けている業者の多くは、玄関ドア周辺の断熱リフォームについても、提案してくれるはずです。
勝手口ドアにも内窓を設置する
もしキッチンに勝手口が併設されているお住まいであれば、勝手口ドアからも暖気が逃げて、冷気が入り込んでいる可能性が非常に高いです。
勝手口ドアには、適したドア仕様の内窓が存在しているので、内窓リフォームと同じように、勝手口ドアの内窓リフォームも施すことをおすすめします。
内窓リフォームはドアの断熱リフォームと同時に行うのがおすすめ

内窓・二重窓リフォームの後、断熱効果をあまり感じられない時の対処方法として、玄関ドアと勝手口ドアの断熱リフォームを行うとより良いことをご紹介しましたが、どうせなら、内窓リフォームをする際に、同時にドア部の断熱リフォームを行った方が2度手間になりません。
リフォーム箇所が増えれば、それだけ費用も嵩んでしまいますので、例えば、リビングと玄関、リビングとキッチン周りなどとスポットで集中的にリフォームしたり、国や地方自治体による補助金制度を活用したりして、最低限の出費で高い効果を得られるよう工夫することをおすすめします。
勝手口ドアの内窓としておすすめの製品

最後に、勝手口ドアの内窓・二重窓として、おすすめの製品を2つご紹介します。
- YKKAP マドリモ 内窓 プラマードU
- LIXIL インプラス
YKKAP マドリモ 内窓 プラマードU
YKKAP マドリモ 内窓 プラマードUは、1窓につき、およそ60分程度でリフォームが完了する、断熱効果や防音効果が期待できる樹脂製サッシの内窓です。
内窓の形状としては、10つのラインナップが揃っている中、開き窓テラスというものが、勝手口ドアの内窓として最適となっています。
カラーバリエーションも豊富で、無機質なグレイやホワイトだけでなく、木目クリアをはじめとする、木調カラーの中から選ぶことができるのも嬉しいポイントです。
LIXIL インプラス
LIXIL インプラスは、サッシに埃が付きにくく、汚れが付着しにくいというダストバリア仕様の樹脂製サッシを採用している内窓です。内窓リフォーム後も、掃除を非常に手軽にこなすことができます。
もちろん断熱効果が期待でき、外窓(単板ガラス3mm)と内窓(Low-E複層ガラス)の場合、外窓のみの時と異なり、室内温度が+7℃に上昇することが証明されているほどです。
また、テラスドア仕様が、勝手口ドアに適した内窓であり、取っ手が非常にスリムな形状であるのも嬉しいポイントです。
まとめ
内窓・二重窓リフォームはドアの断熱リフォームと同時に行うのがおすすめである理由をはじめ、内窓リフォームで断熱効果を高める方法などをご紹介してきました。
内窓リフォームは、1つの窓だけではなく、1つの部屋、あるいは隣接する部屋、キッチン、浴室、トイレ周り、玄関など、スポット的、あるいは全窓・全ドアを一気に行うことで、より高い断熱効果などが期待できます。
内窓リフォームの後に、他のリフォームを追加で行うというのは、意外と手間がかかる上、高くついてしまうこともあるので、予算などを考慮しつつ、最も最適な方法で内窓リフォームをしてみてください。